気ままに読書

読みたい本を気ままに読んでいくスタイル

小説 新世界より 名作と言われるだけあって面白い

2008年 日本SF大賞受賞作品。

SFの名作小説と言われる「新世界より」をお盆休みに読みました。

文庫版で上中下巻からなる1000ページ超えの長編でしたが

展開が面白く一気に読めました!

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あらすじ

1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子供たちの歓声が響く。周囲に注連縄で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。サイコキネシス(念動力)の技を磨く子供たちは野心と希望に燃えていた・・・隠された先史文明の一端を知るまでは。
 
 

超能力は実在するのか?

念動力、いわゆる超能力はひと昔前にユリゲラーオウム真理教等、

流行ったようですが時代が進むにつれてトリックであることが

ほとんどだと検証されてきました。

人間は思い込みしやすいので理屈で説明のつかない現象が起きると

オカルトに結び付ける傾向にあるのではないでしょうか。

科学で説明がつけば偽物、つかなければ本物かもしれない・・・

僕自身、超能力あったらいいなぁと思います。

頑張って修得できるものなら修得したいです(笑)

ちなみに超能力といっても色々あるようです。

サイコキネシス(念動力)

パイロキネシス(発火能力)

・テレパシー

・未来予知

・テレポーテーション

・透視

上げだしたらきりがないですが現在も科学では説明のつかない

超能力者が世界にはいるみたいです。

 

もしも超能力が日常化したら?

新世界よりでは呪力と言われる念動力が

当たり前のように使われていて生活の一部となっています。

呪力をうまく使えるように学校で学んでいく様子は、

某魔法使い学校のホ〇ワーツを彷彿させる

ファンタジーのような雰囲気を感じました。

そして舞台は千年後の日本であり

普通に想像すると近未来的な都市だと

思うんですが(個人的見解)

本作では自然に囲まれた集落、

注連縄で囲まれた町、

とまるで田舎のような集落であり、

むしろ現代文明は姿を消し、

文明が逆行しているかのようで

得体の知れない違和感があります。

なぜ現代文明は無くなったのか?

隠された先史文明の謎と千年の間に何があったのか?

読み進めていくと段々と明らかになっていく

真実に驚かされます。

超能力が日常化したら世界は

どうなってしまうのかをリアルに描かれており

呪力のある世界観に引き込まれました、

僕が今まで読んだSFの中では最高です。

 

感想 ネタバレあり

物語前半では、平和な村の少年少女の

冒険活劇物語って感じでした。

悪鬼や業魔などの話が

おとぎ話みたいな扱いででてくるんですが

そんな恐ろしい悪魔がでてくるのかと

気になり続きが気になりワクワクしました。

他にも子供たちの中での噂話で

不浄猫や風船犬の存在について騒がれており

都市伝説の口裂け女のような感じで

怖いもの見たさで好奇心をくすぐられました。

とにかく前半では新世界の世界観が垣間見え、

随所に散りばめられた伏線?が

どういう意味なのか考えると

次の展開が気になり読書が捗ります笑

 

物語は夏季キャンプへ行った先で急変します。

ミノシロモドキと出会い、

まさかの捕獲をして大人達から隠されている

真実を知ることになります。

ミノシロモドキは移動式図書館で

(ミノシロに擬態したロボット?)

正式名称は、

Panasonic 自走型アーカイブ・自律進化バージョンSE-778HΛ】

何か急に現在文明が出てきて驚愕しましたが

そういえば千年後の世界だったな・・・

Panasonicさんすごい!素直に感心。

この移動式図書館を無邪気な子供たちが

脅して情報を吐かせます笑

呪力を手に入れた人間が呪力を悪用し

大量虐殺が何度も行われたことや

呪力を持った人間が呪力を持たない人間に対し

奴隷のような扱いをしてきたこと等、

とても凄惨な歴史に戦慄しました。

やはり人間が一番恐ろしい・・・。

僕の考察では瞬が業魔になってしまったのは

この時の事が発端となり影響している

のではないかと思います。

そもそも悪鬼や業魔が出てこないように

徹底した管理がされており

攻撃抑制と愧死機構が遺伝子に組み込ませ

教育や通過儀礼による暗示等で

さらに強化されているので

早紀達は人間が人間に攻撃することは

考えられないようになっています。

その状態でミノシロモドキの話を聞くと

早紀達にとっては今までの倫理観が

覆されかねない事実なので

精神的ショックは計り知れないです。

 

一応、言葉の説明を入れます。

攻撃抑制

同族に対する攻撃衝動を抑えるもの。

愧死機構

攻撃抑制を無視して

人間に攻撃しようとすると

無意識に呪力が発動し眩暈や動悸等の

警告発作が発症。

それを無視して攻撃する意思を続けると

呪力により自分の体を破壊、

自分の意思とは関係なく自殺してしまう。

 

瞬が業魔になった原因を考えると ※個人的な見解

1.ミノシロモドキによる先史文明の歴史を聞かされた

2.封印された呪力を意識がはっきりしている状態で行った

3.そもそも呪力が強すぎた&聡明な性格から色々な物が見えすぎる

この3つが大きい要因だと思いますが

決定的な原因は分かりません。

ただ、きっかけと考えると夏季キャンプでの

出来事がやはり大きいんでしょうか。

 

卵を呪力で孵化させる課題で

呪力の無意識な漏出により

奇形になってしまったことから

大人達に業魔化を懸念されるようですが、

呪力の無意識な漏出は

誰にでも起こりえることのようです。

(普通は注連縄で囲まれた外の世界に向けるように

無意識化に意識づけられており注連縄の外では

生態系が影響を受けて変化している)

ですが瞬はそもそも呪力が強く、

夏季キャンプで先史文明の歴史を知り

聡明な性格から業魔や悪鬼の存在を

何となく分かってしまったことにより

無意識化にも影響を受けて

それが奇形になってしまったのでは

ないかと思います。

 

早紀と瞬は実はずっと

両想いだったようですが

お互いに気持ちを伝えれた時には

もう業魔化が進んでおり

どうすることも出来ない現実に

なんだか切なくなります。

業魔化により呪力で周囲に影響を

及ぼし続けてしまう為、

瞬は隔離されます。

そして瞬という人物を思い出せなくなるよう

大人達によって暗示をかけられてしまい

何事もなかったかのように

日常へと戻ってしまいますが

特に仲の良かった早紀達は

ちょっとした違和感から

少しずつ記憶を蘇らせて

その存在を確かめるべく調査します。

しかし、調査していく中で

守が不浄猫に狙われていることに気付き

恐怖に耐え切れなかった守は逃亡すると、

仲の良い真理亜も一緒に駆け落ちしてしまう。

早紀達は大人達に友達は死んだと伝えた方が

真理亜達の幸せになると考えましたが

結果的に多くの人が死ぬことになります・・・。

何か感想が早足になってきた汗

 

物語後半では早紀達が大人になった後の話となります。

ある日、化けネズミが人間の作ったルールを破ります。

他コロニーに攻撃する時は申請しなくてはならないという

ルールが決められていましたが

それを無視して攻撃をされた報告が上がります。

たまたま申請忘れたとか

そういう感じではなく

意図的な計画的な犯行でした。

ちなみに化けネズミにとって

人間は神様のような絶対的な存在であり

ルールを無視することは余程ないみたいです。

 

真理亜達が駆け落ちして数年が経ち

真理亜と守の子供がどういう訳か

野弧丸の元へ渡り

呪力の力を手に入れたことで

人間へ反旗を翻そうと考えた

世界征服を策略した第一歩だったようです。

どういう経緯で化けネズミの元で

育てられたのかはわかりませんが、

化けネズミに育てられ自身も

化けネズミと思い込んでしまいます。

つまり死機構撃抑制

人間に対して働かない

悪鬼のような少年が誕生したわけです。

(人間が化けネズミ等、

他の種族への攻撃ができるように

自身を化けネズミだと思い込んでいると

化けネズミに対してだけ

愧死機構攻撃抑制

働くので人間へ攻撃ができる)

真理亜と守が生きていたら

子供を化けネズミの元へはやらないはずなので

もしかしたら、不慮の事故で死んでしまったか

化けネズミに殺され子供を奪われたかだと

思うんですが、どちらにせよ悲しいですね・・・。

 

ちなみに僕は、小説の冒頭で

もし真理亜が生まれてこなかったとしたら、

結果的にあれほど大勢の人が

命を落とすこともなかったはずだから・・・」とあったので

守が死に、精神的に不安定になった真理亜が

悪鬼になるストーリーかと思ってました。

真理亜と守の関係が何だかんだ言って

僕は好きだったので一緒になれて良かったなぁ

悪鬼にならないで良かったなぁと思いつつ

いつの間にか出てこなくなってしまって

ちょっと残念。

 

死機構撃抑制の裏をかいた

悪鬼もどきの呪力使い暴れん坊少年にかかれば

人間など、ごみ屑の如し。

鏑木 肆星日野 光風という最強の呪力使いが

町を守っていたんですが

いとも簡単に殺されてしまいます。

日野は完全に油断した感じでやられてしまいますが

野弧丸の裏の裏まで読む策士っぷりもすごかったです。

鏑木紫星は油断はしていなかったと思いますが

野弧丸さんマジ半端ないっす。

戦国時代に生まれたら天下取れそう。

日野はそもそも頭がいっちゃってるようで

業魔になってないのが不思議なくらいでした笑

ちなみに鏑木は本気を出したら

地球を割れるらしいですが

(少年ジャンプ的な例えが面白い)

本当だとしたら呪力ってすごい。

ちなみに呪力の原理は、

恒星のエネルギーを利用しているというものと、

人間の脳を介して量子力学的な現象をコントロールしているという、

二つの説が提唱されているようです。

僕は原理を聞いてもいまいちわからないです汗

その原理でいくと質量保存の法則とやらは

どうなるんだろう??よくわからない。

まあこの辺はSFなので・・・

誰か実際にいる超能力者にでも

聞いて下さい(笑)

 

攻撃抑制のある人間では

どうすることもできない

悪鬼もどきの暴れん坊少年を倒すべく

早紀達はサイコバスターと言われる

細菌兵器を求め東京へ旅立ちます。

東京の地下洞窟の描写は

とりあえず不快な感じでした。

何人か犠牲者を出しつつも

サイコバスターを手に入れますが

何とサイコバスターを投げた瞬間、

呪力で細菌を燃やしてしまいます。

悪鬼もどきの少年と

覚に対して攻撃抑制が働いたようです。

もう仲間を失いたくない気持ちが

強くでてしまったようです。

真理亜、守、瞬といなくなり覚まで

いなくなるのはそりゃあ嫌ですね。

でも早紀は強靭なメンタルを

持っていると言われていたので

メンタルの強さはここでは

関係ないんだなぁと思いました。

切羽詰まった状況で最終的には

早紀の中に存在している瞬からヒントをもらい

愧死機構を応用した作戦を考え付きます。

まず奇狼丸を人間に見立てて少年の前に行きます。

そして少年により攻撃を受けた後、

素早くフードを戻し化けネズミの姿を曝すと

少年は同族を殺したと認識し、そのまま死んでしまいます。

早紀の中に出てくる瞬はたまにでてきますが

早紀が作り出したイメージなのか

瞬の呪力によって早紀の中に意識を造り出したのか

わかりませんが良いとこで

助言してくれるので守護霊みたいで頼もしい限りです。

もう一人の僕ってやつですか。

現実では一緒になれませんでしたが

精神世界では一緒になれているみたいで良かったです。

 

早紀(瞬)の作戦により

ついに暴れん坊将軍を打倒し

野弧丸を捕えます。

野弧丸は裁判にかけられて

半永久的に苦痛を与え続ける刑という

無間地獄の刑に処されますが

しばらくすると早紀により安楽死させられます。

裁判の時に野弧丸は

『私たちは人間だ!』と言い放つシーンがあります。

どうやら本当に人間らしく

呪力を持たない人と持つ人の差別化を

はかるため呪力を持たない人を

呪力により遺伝子を変えて

姿を醜く変えることで化けネズミが出来たようです。

姿を人間とかけ離れたようにすることで

愧死機構が働かないみたいですが

呪力を持たない人間は

もはや人間としては扱わず

何かあれば躊躇なく殺す人間に

本当の悪者は誰なんだろうと

分からなくなってきます。

やってることは倫理観のかけらもない

恐ろしいことですよね。

醜い生き物に対してなら

残酷にもなれるんでしょうか。

 

最後に・・・

小説の最後に悪鬼と業魔を防ぐ手段として

攻撃抑制愧死機構がありますが

硬直的で不自然な解決方だったのではないか

と言われています。

実際にそれのおかげで

悪鬼等がでるのは稀になったようですが

悪鬼がでてしまった時の対処方が

ほとんど無くなってしまいます。

僕が考えとしては呪力を持った人でも

目に見えない攻撃は防げないようですし

攻撃抑制愧死機構が無くても、

対悪鬼&業魔特殊部隊を呪力を持った人で

作ってやればいいんじゃないかと思います。

現在で言うところの警察ですね。

(呪力ではなく銃とかでもいいですが

呪力もあったに越したことはないよね)

それだと事故が起こってから

対処する形になってしまいますが。

実際に警察だって事件や殺人が起きてから

動きますしそこはしょうがないと。

 

新世界より』は

呪力によるユートピアな世界かと思ったら

とんだディストピアでしたね。

ここまで緻密に練り上げた構想には

もうすごいとしか言いようがないです。

ちょっと疲れてだいぶ適当なところが

多々ありますがご了承ください笑

しっかり書こうとすると

終わる気がしないのでこの辺で・・・

エンターテインメント性があり

リアリティーなホラーでありSFであり

すごく面白かったです!

アニメ化されてるみたいなんでいつか見たい。

 

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